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犬を喰らう男たち

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最後から二番目のカンボジア自転車旅行
シェムリアップ→ランファット→モンドルキリ→メモット→スノウルまで

犬を喰らう男たち

同じ道を辿り続けて、夕方に近い時刻になってきた。そろそろ今夜の宿の心配をしなくてはいけない。道路脇に宿を物色しながら自転車を進める。町があるわけではない、今は走っているのは小さな家がポツポツとある村だ。道路脇の家から声がかかった。「どこへ行くのか。」「タラバリバット、スツゥングトレーンへ行く」と応えると休んで行けという。カンボジア人の典型的な家で高床式で二階建てに見える。道路を降りて家の下へ行くと3人の男たちと2人の女性と2人の子供がいた。二階へ上がれというので遠慮なく埃っぽい部屋に上がる。二階の窓は丁度走ってきた道路と同じ高さにあった。男たちはビールをチビチビと飲んでいた。もう、かなり飲んでいるようだ。どこから来たのか。どこへ行くのか。など月並みな挨拶を交わし、一息つくと、肉を焼くので喰わないかと男たちが言い出した。口々に何か言っているが、よく分からない。そのうち酒が切れたらしく買いに行くというので、泊めてもらうかもしれないという下心もあり、小銭を出して渡した。カンボジアでは1ドルで缶ビールが2本買える。ソフトドリンクも同じ価格だ。やがてビールが届く。男たちは階下に降り、七輪に載せた金網の上の肉を焼き、酒を飲み出した。あまりよい雰囲気ではない。酒も入っているのでどう猛な眼をしている。ワイワイ、喋っている内容を聞くとどうやら、犬を料理したらしい。タイ語、カンボジア語で犬と言っている。このあたりでは、西のサムロン(Samrong)付近同様、タイ語が結構使われているようだ。七輪の焼き網の上には肉が並んでいる。すでに肉になっているので、恐ろしくはないのだが、食べないかと誘われても犬のバーベキューを今、食べたいとは思わない。すでにタイの奥地で犬料理を食べたこともあるのだが。犬の形を想像させるのはしっぽの部分くらいだが、生の肉を見ると焼いていても食べる気にはならない。逆に吐き気がする。男たちは買ってきたビールを飲み尽くし、私を見て、また金を出してほしいと言い出した。男たちの様子が悪いので、もう金はないと出さないことにした。そして、適当な頃合いをみて、もう行くよと席を立った。ここの家には泊まることはできない。あぶない。小銭を取られて、道路へ戻る。男たちは犬肉に気をとられて別に私に関心はない。「チョムリアップスオ」(さようなら)と言って自転車をこぎ出す。宿を見つける自分の眼も曇った。いままでなら、宿を外すことはなかったのだが。でも2ドルで済んでよかった。
 道路は新しいのでマイルストーンはまだない。頼みはサイクルコンピューターだ。
もう朝から100km近く走っている。道路は地道になったり、簡易舗装になったりしている。

 ワット・チュバンに泊まる

 さあ、本格的に宿探しをしなくては。18時過ぎ、道の右側に店を発見して店に入る。飲み物を頼み、序でに宿があるかどうか聞く。宿はないが、ここへ泊まってもよいと店先の土間を指さす店の主人。しかし、彼は、思い出したように、店先に出て、道路の向こう側の建物を指さす。どうやらお寺らしい。あそこへ行けと言う。
自転車を引いて道路を横切り坂を下りて、寺の講堂へ行く。寺には子供たちが数人いた。私の姿を見て、若いお坊さんを呼んできた。英語を話せる若いお坊さんへ事情を話して泊めてくれと頼む。すぐに快諾してくれた。若いお坊さんは25歳だ。寺はワット・チュバン(Wat Chgvang)、村はプム・チュウバン(PumChvang)という。メコン河河畔のタラバリバットまであと50kmくらいの位置にある小さな村である。自転車から荷物を下ろした。子供たちが泊めてもらう講堂へ荷物を運び込む。自転車も盗まれぬように気をつかってかたづけてくれた。高床の講堂へ上がり、お坊さんと他のお坊さんたちに挨拶する。年配のお坊さんは寺の僧坊に住んでいる。あっという間に暗くなってくる。村や周囲の家には明かりはないが、寺は自家発電で電気が使える。暗い中で子供が水を浴びるように案内してくれた。大きな水瓶の水を使って、汗と埃を流す。気持ちがいい。水浴の後、食事も出してくれて、ひもじさもない。食後、若いお坊さんと話す。yarnnさんという。二週間前にこの村に来たらしい。ストゥングトレーンの寺にいたという。喘息か、呼吸系の病気があって、自分の身体の心配をしている。私もシェムリアップで坊さんとして寺にいたことを話し、写真を見せる。親近感が増したようだ。夜20時過ぎ、村人が来て、お坊さんは一緒に出かけた。葬式だろうか。私は明日に備えて寝る準備だ。携帯用の小型の蚊帳を講堂に張り、潜り込む。寝付きも早い。
 夜中に高床の講堂から階段を降りてトイレに出ると、空は晴れて星空がきれいに見えていた。明日も晴れだろう。

 

 



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